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経済界から政府へ。選択的夫婦別姓法制化を要望する手交・院内集会を開催しました|2024年国際女性デー

 国際女性デーである2024年3月8日、経済界が大きく動きました。6団体で政府に対し選択的夫婦別姓導入を求める要望書と署名を手交したのです。同日、参議院議員会館で集会(院内集会)を開催し、国会議員の参加のもと各団体代表から選択的夫婦別姓を求める切実な声を発信、与野党の国会議員の皆様からご出席・ご挨拶をいただきました。

 当日の様子をレポートいたします。

要望の目的と概要

 選択的夫婦別姓の法制化とジェンダー平等を推進する一般社団法人あすにはでは、前身の任意団体の頃から「選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会」事務局を務めています。2021年4月より企業経営に携わる19名が呼びかけ人となり、有志の会として、企業・団体の役員以上から個人署名を集めて参りました。2024年3月7日正午までに1,046筆に達し、政府に対して手交することといたしました。

 署名集めとともに、経済界にも選択的夫婦別姓勉強会を実施し、法制化を求める輪に加わっていただけるよう呼びかけてきました。


2023年12月にあすにはが実施した勉強会

 その結果、上記4団体に加え、かねてから陳情活動をご一緒してきた一般社団法人日本跡取り娘共育協会の方々も手交の場に同行し、独自の法改正要望書や資料を手渡していただけることとなりました。


 こうして、2024年3月8日国際女性デーに、岸田文雄首相名代として矢田わか子首相補佐官、小泉法務大臣名代として門山宏哲法務副大臣、加藤鮎子女性活躍担当大臣の名代として古賀友一郎政務官、上川陽子外務大臣の名代として深澤陽一外務大臣政務官に対して各団体からの要望手交を実施することができました。


4枚の写真のコラージュ。(左上から時計回りに)門山法務副大臣、深澤外務政務官、矢田首相補佐官、古賀内閣政務官への手交、集合写真

(左上から時計回りに)門山法務副大臣、深澤外務政務官、矢田首相補佐官、古賀内閣政務官への手交、集合写真

ビジネスリーダーたちは何を国に求めたのか

政府への手交には以下の団体の方々もご参加くださり、各々の要望を手渡してくださいました。


公益社団法人経済同友会(要望書)/一般社団法人 新経済連盟(要望書)/一般社団法人日本経済団体連合会(資料)/全国女性税理士連盟(要望書)/一般社団法人日本跡取り娘共育協会(調査結果)/選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会(要望書署名一覧賛同コメント


これを手渡す時にビジネスリーダーからどのような思いを伝えたのか、以下にまとめました。


15:00 法務省で要望書と署名を手交

 5団体(新経連、経済同友会、女税連、日本跡取り娘共育協会、選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会、あすには)の代表が法務省に集結し、小泉法務大臣名代である門山宏哲法務副大臣に要望書と署名を手交しました。

旧姓使用は国際的なビジネスにおいてリスク要因でしかない

田代桂子さん 経済同友会副代表幹事・社会のDEI推進委員会 委員長(株式会社大和証券グループ本社 取締役 兼 執行役副社長)

門山法務副大臣に法改正を要望する田代さん

 今回の要望で申し上げたいことは、多様化する家族のあり方や価値観の変化を尊重し、時代に合わせた柔軟な制度変更をお願いしたいということです。 企業にとっても、旧姓の通称使用は国際的なビジネスにおいてリスク要因でしかなく、手続き上のコストもかかります。

 社員が自分らしく活躍できる環境を整えることは経営者の責務ですが、法律や制度を実際に変えることは、政治にしかできないことです。 現在、不利益を受けている方も含め、誰もが自分らしく活躍できる社会を創るために、民法750条を改正し、婚姻時、夫婦が同姓、または各自の婚姻前の氏を称することができるよう、選択的夫婦別姓制度を導入していただくようお願いします。

 併せて、国民の理解を深めるための啓発活動の強化と導入に向けたロードマップの策定と公表を要望いたします。近い将来、選択的夫婦別姓制度が導入されて、誰もが自分らしい道を選べる社会になるよう願っています。ぜひ、選択的夫婦別姓制度の早期実現をお願いいたします。


田代さんはこの日を前に東京新聞の取材にも応え、金融業界における旧姓使用の問題を解説。「選択的夫婦別姓は女性だけのためのオプションではない。実現すれば、無駄な時間やコストの節約にもなる」と指摘しておられます。


https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/life/82404/(東京新聞)

法改正は「いつか」の話ではなく今、私たちの人生に関わること

辻愛沙子さん 選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会 呼びかけ人(株式会社arca 代表取締役)

門山副大臣に要望書と署名を手渡すビジネスリーダーたち(左から4人目が辻さん)

門山副大臣に要望書と署名を手渡すビジネスリーダーたち(左から4人目が辻さん)

 私も私の周囲にも、女性で経営者の方が結構多くいます。皆が口を揃えて言う問題は、名字を9割の女性が変えている中で、実際に自分が結婚と、組織の代表であることを両立させられるかという悩みです。例えば、私の仕事の場合、この名前で表に出て、報道番組にも出演しております。こうした状況の中、パートナーとの結婚や将来に関して、互いの改姓がどちらも仕事に影響を及ぼすとして大きなハードルを感じています。通称使用だけでは公的書類など旧姓が使用できないものも多く、改姓した側にだけ書類等の改修含めたコストや負担が強いられることになります。例えば会社の登記などでも、通称使用が認められているのは“戸籍名のみ”か、”戸籍名と旧姓(婚姻前の氏名)の併記”のみ。いずれにしても、結婚して改姓した時点で書類の変更が求められるんです。悩んだ結果、事実婚を選んだという方も、私の周りにかなりの数いらっしゃいます。

 法改正は「いつか起こったらいいよね」ではなく、本当に今、この瞬間の私たちの人生に関わること。明日にでも法改正が進むのであれば、新しい選択肢として、「じゃあ結婚しようか」「子どものことも考えられる」という若い人たちは本当にたくさんいると思います。 むしろ、なぜ進まないんだろうと。

 現状は、言い換えてみれば「 “強制的”夫婦同姓」とも言えるなと思っています。夫婦は別姓であるべき、ということではなく、同姓を選びたい夫婦も、別姓を選びたい夫婦も、どっちもいていいんです。ただ、そのどちらにとっても選択肢があることが大事。同じ名字を選びたい方は今まで通りです。誰かに別の選択を強いるようなものではなく、あくまで国民に「選択肢を1つ増やす」ことであるという認識も含めて、「いつか」ではなく1日も早い法改正をお願いいたします。

困っている方の声に耳を傾けて制度に活かす政治の力に期待

井上高志さん 一般社団法人 新経済連盟 理事(株式会社LIFULL 代表取締役会長)

門山法務副大臣に法改正を要望する井上さん

 楽天グループ株式会社の三木谷浩史代表取締役会長兼社長が代表理事を務めております一般社団法人新経済連盟です。 産業界からの声として要望をお持ちしました。

 ジェンダーギャップ指数が146カ国中125位まで落ちているのが日本の現状です。選択的夫婦別姓導入については国連の女性差別撤廃委員会からも再三の勧告を受け続けておりながら、約半世紀にわたり放置されている状態です。実際に産業界においても様々なところで弊害が出ており、早期に是正をしていただきたいというのが要望の骨子です。

 具体的に1つ目は選択的夫婦別姓の法制化、 それから、いつそれを実現するのかというロードマップの公表、そして実際に国民への周知・啓発活動、この3点を要望いたします。

 この選択的夫婦別姓制度というのは、ジェンダーギャップ是正の最初の1歩目に過ぎないと思っています。多様な方々が自分らしく生きる選択の自由がある、このダイバーシティの観点が幸せな社会を作るのではないでしょうか。困っている方の声に耳を傾けて制度に活かす政治の力、ルールメイクに期待をしております。


平成3年から毎年国会請願。いつになったら法改正ができるのか

西原千景さん 全国女性税理士連盟 会長(税理士)

門山法務副大臣に法改正を要望する西原さん(右)

 私どもは、昭和33年に会を設立し、今年で67回目の総会を迎えました。 平成3年から、法務省に(選択的夫婦別姓)賛成の意見書を出して以降、請願という形で署名を集め、 衆参の議長を通じて国会に提出する活動をずっと続けています。毎年毎年国会に行っては請願書を出す中で、国会議員の方には「選択的夫婦別制度、いいですね」と言っていただけるのに、一向に審議に上がらない。いつ改正されるんだろうと思っています。

 税理士は仕事上、旧姓使用もできます。私の「西原」も旧姓ですが、確定申告の時は戸籍姓でなければならず、銀行の口座も全て、夫の姓です。そういう使い分けの不都合がないようにすることが、日本社会をもっと自由で生きやすい社会にしていくことになります。女性が生きやすくなれば、 子どもも産みやすく、結婚もしやすく、人口も増えると考えます。夫婦同姓を強制してるのは世界中で日本だけ。いつになったら法改正できるのか。本当によろしくお願いいたします。


家業を継ぐ女性経営者にとって名字はブランド

内山統子さん 一般社団法人日本跡取り娘共育協会 代表理事(株式会社ソラローブ代表取締役)

門山法務副大臣に法改正を要望する内山さん

 私たちは女性の事業後継者の支援を目的にしてる団体です。令和3年4月26日に、夫婦同姓問題についてアンケートを取りました。女性リーダーとして活動するにあたって、現行の夫婦同姓による改姓に多くの方が不具合を感じていることがわかりました。選択的夫婦別姓制度があれば「夫婦別姓を選ぶ」と回答した女性経営者は全体の約64%​​です。私も旧姓で活動しています。

 女性が夫の名字で起業し、のちに離婚した場合、元夫の名字を名乗り続けるか、旧姓に戻すかを選ぶことになります。後者なら離婚したことまで(登記等で)公表しなければなりません。家業を継いだ私たちにとって、名字は「ブランド」です。 例えば創業者の父と、事業を継いだ娘の名字が違うと娘として認識されず、地方になればなるほどブランドが損なわれ、銀行との取引、法的な手続きなど様々なところで弊害が出てきます。


ビジネスリーダーからの要請を受けた門山宏哲法務副大臣のコメントです。

議論活性化のベースとなる情報提供、しっかり進めていきたい

門山宏哲法務副大臣(小泉法務大臣名代)

参加者とメディアを前に話す門山宏哲法務副大臣

 本当にお忙しい中、お越しいただきましてありがとうございます。今の現行法制度に、コストや不利益の問題、また国際的な業務への影響、少子化への影響など、本当にいろいろなご意見をいただきました。その他に、最高裁の判決でも言及されたように、アイデンティティの問題、人格的利益の問題も当然、あるのだろうと思っております。この内容、まだいただいたばかりですが、しっかり読ませていただき、大臣にもしっかり共有し、議論させていただきたい思っております。

 選択的夫婦別姓制度にはいろんなご意見があるということは私も承知しています。 皆さん、もう早く実現を、というご意見が多数でしょうけれど、法務省の立場としては、この議論が活発化すること、いろんな意見がある中で個人的な理解を進めていくこと、そのための情報提供、本部長としては今までもやってきましたけれど、しっかりと進めていきたいとこの場では申し上げます。本当にどうもありがとうございます。

 昨日も「あすには」さんは千葉県県庁に(陳情に)来られたそうです。私の地元でもあり、県議から要望が来たとご連絡いただいています。そういうことも踏まえて、しっかり私の方も進めていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。


井田奈穂 一般社団法人あすには 代表理事

私どもが出した地方議会からの意見書、384件ほどになっております。それほど多くの議会で、県レベルも含めて意見が上がっておりますので、ぜひ早急に進めていただければと思います。今日はお時間いただきありがとうございました。


※経団連の資料も、ご許可を経て、代理であすにはから手交させていただきました。


法務省から外務省へビジネスリーダーの皆さんと徒歩で移動。胸には国際女性デーのシンボルである「ミモザ」の花のコサージュ

16:10 外務省で要望書と署名を手交

 5団体の代表は外務省に移動し、経団連の代表と合流。上川外務大臣の名代として深澤陽一外務大臣政務官に対して6団体から要望書と署名を手交しました。


日本人の通称使用は海外で理解されずトラブルに

工藤禎子さん 経団連 ダイバーシティ推進委員会企画部会長(三井住友フィナンシャルグループ 取締役執行役専務 グループCRO)

深澤外務大臣政務官に法改正実現を求める工藤さん

深澤外務大臣政務官に法改正実現を求める工藤さん

 経団連では、女性活躍をはじめ多様な人材、価値観、考え方をチカラにできる組織や社会の実現に向けて、取り組んでおります。企業の現場では、結婚前のキャリアとの連続性を保つため、結婚した後も、自分の生来の姓を「ビジネスネーム」として使用するケースが増えてきています。しかし、戸籍上の姓とビジネスネームの姓が異なるため、パスポートで身分を証明する必要がある際、例えば、海外の空港での入国審査で説明を求められる、あるいは、ホテルへのチェックインや訪問先へ入館を拒否されるなど、通称利用を理解して頂けず、トラブルに至る事態が起こっております。この他にも、経団連が用意した資料のP3.に通称利用の弊害の例を纏めておりますので、後ほどご確認ください。

 外務省におかれましては、多様な人材が活躍できる社会の実現に向けて、本人が望めば別姓も選択できる「選択的夫婦別姓」を実現すべく、強力なリーダーシップを発揮していただきますよう、お願い申し上げます。


誰もが自分らしく自分の人生選択できるように

安渕聖司さん 経済同友会 社会のDEI推進委員会 委員長(アクサ生命保険株式会社 代表取締役社長 兼 CEO)

深澤外務大臣政務官に法改正実現を求める安渕さん

 今回の要望で申し上げたいことは、多様化する家族のあり方 の変化を検討し、時代に合わせた柔軟な制度変更をぜひお願いしたいということでございます。 企業にとっても、旧姓の通称利用は特に国際的なビジネスにおいて、リスクとなっております。手続き上のコストも企業ではかかっております。 社員が自分らしく活躍できる環境を整えることは、私ども経営者の責務として推進してまいりますけれども、 法律や制度を実際に変えていただくこと、これはぜひ政治にお願いしたいと思います。したがって、現在不便・不利益を受けている方も含め、誰もが自分らしく自分の人生選択できるように民法750条を改正していただいて、 婚姻時に夫婦が同姓または婚前の氏を称することができるように、選択的夫婦別姓制度を導入していただくようお願い申し上げます。合わせて、国民の理解を深めるための啓発活動の強化、そして導入に向けたロードマップの作成と公表、合計3点をぜひお願いいたします。将来、選択的夫婦別姓制度が導入されて、誰もが自分らしい道を選べる社会になるように、みんなが活躍できる社会になることを心から祈っております。ぜひ実現に向けてよろしくお願い申し上げます。


女性の生きづらさは、社会の発展、経済の拡大にとって損失

井上高志さん 新経連 理事(株式会社LIFULL 代表取締役会長)

深澤外務大臣政務官に法改正実現を求める井上さん

 世界で唯一夫婦で同姓にすることを義務付けられている日本は世界的に稀な国であり、国連の女性差別撤廃委員会からの再三の勧告にも関わらず、約半世紀にわたり放置され続けています。(望まない改姓は)産業界においても、また個人の生活でも色々なハードルがあり、精神的にもストレスで「なぜこのようなルールに従わなければいけないのか」ということが毎日様々な場面で起こっています。これ自体、社会の発展、経済の拡大の障壁です。まずは法制化を進めて、具体的にいつまでに実施、策定をするのかロードマップを公表し、それから、新制度に関する国民や企業などへの啓発活動を実施し、周知をお願いしたい。この3点が我々新経済連盟からの要望です。

 ジェンダーギャップによって女性が生きづらい社会は、人材を活性化するという観点から見ても損失だと思います。同様に障害者やシルバー人材に働き口が少ないことや、外国人が賃貸住宅の審査で落とされること、シングルマザー、ファーザーが住宅ローンも組めないといった課題が至るところにあります。ダイバーシティを重んじて、誰もが自分らしく生きられる国にしていくために柔軟な制度設計が必要です。より自分らしく自由に働いたり生活をしたりできる国になることが、ひいては産業界がその活力を活かせることにつながる。生産年齢人口がどんどん減る中で、人材の活力を活かせる全体設計がものすごく必要です。そういう意味でも、 選択的夫婦別姓制度はもう早々に実現しましょう。私の会社はLIFULL STORIESというメディアで、あらゆるLIFEがFULLになるために取材、発信をしております。その中では、この選択的夫婦別姓についても複数回、発信をしてきました。 そういった市井の方々の困っていることに耳を傾けて、それを制度として、ルールとして改善するのに活かす、これが本当に政治の力だと思います。

国連勧告を受け入れないような国には投資も人材も集まらない

毛利麻子さん 全国女性税理士連盟 相談役(税理士)

深澤外務大臣政務官に法改正実現を求める毛利さん

 平成3年、戦後始めて機が熟したということで法務省において婚姻法(民法750条)の見直しがされた時には関係団体や一般国民にヒアリングがありました。その頃から私たち全国女性税理士連盟は選択的夫婦別姓制度の導入を要望してまいりました。女性の社会進出は時代の流れです。女性が社会経済活動に参画し、活躍することによって、これからの社会経済の活性化に寄与することが期待される。そのためには、選択の幅が広く許容され、選択の自由が保障された懐の深い社会制度が必要であると、ずっと訴えて 参りました。それから30年経過し、今や少子化が待ったなしの深刻な状況に至っております。

 結婚ができない、子供が持てない、将来に夢が描けないなど、現役世代の若者たちが生きづらさを訴えております。国民の意識や家族のあり方は大変多様化しております。この現実を見るに、法制度が旧態依然として、かたくなに変わることを拒んでいて良いものでしょうか。今年は国連の女性差別撤廃委員会の日本審査の年でございます。2003年以降、我が国に対し、早急な法改正が繰り返し勧告されています。諸外国では国連勧告を受けて、選択の幅が広く許容されるような制度を導入。最後に唯一日本だけが残っているという状況です。

 今や、2023年のジェンダーギャップ指数で日本は、146ヵ国中125位にまで転落しています。勧告を受け入れないような国には、投資も人材も集まりません。 女性が生きやすい国でなければ深刻な少子化傾向がとどまることはなく、社会経済の低下にもつながります。立法府では、国連の勧告を真摯に受け止めていただきたいと思います。

女性経営者の64.4%が「選択できる制度があれば夫婦別姓を選ぶ」と回答

内山統子さん 一般社団法人日本跡取り娘共育協会 代表理事(株式会社ソラローブ代表取締役)

深澤外務大臣政務官に調査結果を手渡す内山さん

本日お伝えさせていただきたいのは、こちらのアンケート調査の結果です。我々は、令和3年4月に選択的夫婦別姓に関するアンケートを取りました。64.4%の方々が、選択できる制度があれば夫婦別姓を選ぶと回答しています。女性経営者は皆様、ご結婚をされた時に、様々な不便を強いられます。例えば、法的なもの、そして銀行からの融資などで、夫婦の姓を同じにしなければならないことに不具合を感じているんですね。地域であれば姓がブランドになっているというところがございます。今回の要望として私たちが申し上げていきたいのは、夫婦別姓を選択できるようになってほしいということです。どうぞよろしくお願いいたします。

法改正を求めるビジネスリーダー1,046人の署名、熱いコメントもぜひ見て

青野慶久さん 選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会 共同代表(サイボウズ株式会社 代表取締役社長)

深澤外務大臣政務官に署名とコメント、要望書を手渡す青野さん(中央)

今日皆さんが話してくださったように、結婚時は必ず片方改姓をしなければならない現行法には、ビジネス上の不具合が多く散見されます。よく「別姓問題」として、まるで一部の人だけの問題であるかのように矮小化されてしまうのですが、企業にとっても経済的な不利益が大きく、それを署名にしましたところ日本を代表するビジネスリーダーが1,046人、皆さん名前を出して署名してくれました。熱いコメントもたくさんありますので、ぜひ見ていただき、法改正を進めてください。

ビジネスリーダーからの要請を受けた深澤陽一外務大臣政務官のコメントです。

パスポートの不具合はあまり把握しておらず。

議論推進に一議員としても努力したい

深澤陽一外務大臣政務官(上川外務大臣名代)より

6団体から要望・手交を受けた深澤陽一外務大臣政務官(前列中央)

 今日はわざわざお越しいただきまして、ありがとうございます。この皆様方の要望、また署名など、しっかりと受け止めさせていただきます。外務省の所管はパスポートの部分。外務省としてはそこまで具体的な事例というものはあまり把握していなかったのですが、今海外で色々と疑われた事例、ホテルなどでも不具合があったという話も伺いました。またそういった事例も改めて認識しながら、しっかりと受け止めていきたいという風に思います。

 全体の話では、外務省で全てを答えることはできませんが、ただ、私の認識で行くと、 総理や、政府の答弁ですと、社会に影響を与えるようなことなので、それぞれの民間で議論してという答弁だったと認識をしております。なので、いいとも悪いとも政府答弁では言ってないという認識だと思います。 改めて、皆様方が長年働きかけ、しかも今回は署名活動もやっていただいたということで、これはしっかりと意見を拝見し、受け止めさせていただきたい。いずれにしても、(改姓が)女性の不利益になっているという点は、前から耳にしておりますので、解消できるようにしたい。選択的夫婦別姓導入に向けて、議員の中でまだ意見の統一ができてないのも認識しておりますが、とにかく議論を進めるようにしたい。確かこのテーマで、特に自民党の中では1年ぐらい(会合が)そんなに開かれてないという認識です。また与党の中で議論が進むように、一議員としても努力をしてまいりたいという風に思っております。

(参加者から「具体的にいつまで?」と問われ)ロードマップにしても、国民の啓発にしても、まずは導入というものの方向性が決まらないとなかなか…。要はステップの部分だと思いますので、まずは法制化ができるのかどうかというところで、この今日の要望をしっかりと受け止めて、政府にも伝えて検討してまいりたいと思っております。(参加者から「はっきりした答えがないですよ」と応答)


井田奈穂 一般社団法人あすには 代表理事

私どもは全国に700名ほどいる当事者団体です。旧姓併記のパスポートの問題で、非常に多くのメンバーが海外の入管で止められ、身元確認をされる経験をしています。日本の国から正式に発給されたパスポートにも関わらず足止めをくらう。そして、現地で銀行口座を持つときに、この表記はなんだと言われ、自分の口座間での送金すらできなくなっている例もあります。政務官のお言葉を受けて、私たちの困り事がまだあまり届いていなかったのかと感じているところです。外務省の方々にも ご出席いただいて勉強会もしてきました。国連職員なども国際機関で働くメンバーも、困っています。ぜひ法改正をお願いします。



要望書手交について各社も速報を出しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240308/k10014383281000.html(NHK)

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000340133.html(テレビ朝日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/314027(東京新聞)

https://www.47news.jp/10625989.html(共同通信)


16:50 院内集会・首相名代と内閣府大臣名代に

要望書・署名を手交

 岸田首相名代として矢田わか子首相補佐官、内閣府大臣名代として古賀友一郎政務官に対して手交を実施し、各団体参加者から選択的夫婦別姓を求める切実な声を発信しました。ご臨席くださった国会議員の皆さまからも、選択的夫婦別姓実現に向けての決意や応援のお言葉をいただきました。

矢田稚子首相補佐官(右から7人目)、古賀友一郎内閣府大臣政務官(同8人目)に全団体から要望を手交

院内集会の様子は、動画アーカイブをぜひご覧ください。

国民が生きやすい、働きやすい、特に女性が働きやすい社会の実現を

安渕聖司さん 経済同友会 社会のDEI推進委員会 委員長(アクサ生命保険株式会社 代表取締役社長 兼 CEO)

院内集会で話す安渕さん

 本日は、選択的夫婦別姓制度の実現に向けてお願いをしてまいりました。基本的には、それぞれの人が自分の道をしっかりと選択できるということ、それによって不都合や不便益を受けないということを目指した要望です。一つ目は、1日も早い民法750条の改定によって、婚姻時に同姓もしくは元々のそれぞれの姓のどちらかを使えるということを実現していただく。二つ目は、それにつきまして、国民の理解をより深める啓発活動をやっていただきたい。三つ目は、具体的にいつどのようにこれが実現していくのかというロードマップの策定および公表をお願いしたいということです。これらを今日要望してまいりました。国民が生きやすい、みんなが働きやすい、特に女性が働きやすい社会を作っていくという観点からの実現をぜひお願いしたいと思います。


(司会から)経済同友会・代表幹事でいらっしゃる新浪さんも定例記者会見で選択的夫婦別姓に触れ、「価値の多様性を日本として認めていくことが、先進国としての大きな第一歩。ぜひ実現していただきたい」とし​​、 ESG 投資に関しての指摘もされていました。

https://mainichi.jp/articles/20240229/k00/00m/020/331000c(毎日新聞)


女性従業員から聞く旧姓使用の不自由さ。

経営陣として、企業として何かできないかと賛同

大薮貴子さん 経済同友会 社会のDEI推進委員会 副委員長

(武田薬品工業株式会社 チーフ グローバル コーポレート アフェアーズ &サステナビリティ オフィサー)

院内集会で話す大薮さん(中央)

 (武田薬品工業での旧姓使用について)何とかやっています。ただ、やはりグローバルで見ていくと、日本はずいぶん違う立ち位置にいます。したがって、そういう意味では早急に民法750条の改正を行ってほしいです。我々経営陣はよく従業員と対話を行いますが、そういう場でも特に女性の従業員から不自由であるという声を聞いています。経営者として、企業として何かをできないかということで、賛同させていただいています。今日、色々な団体の皆さんとともに手を取り合いながらこのような場にいられることはまさにダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの精神そのものだと思います。本日お集まりいただいている皆さんにも、ぜひサポートしていただければと思います。


(政務官と首相補佐官への手交時にあたり)一刻も早く、民法750条の改正をお願いします。それとともに選択的夫婦別姓の導入に伴う啓発活動も、ぜひよろしくお願いいたします。

規制改革推進会議で実感した政界の構造問題。変えられるのは皆の投票

夏野剛さん 選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会 共同代表

(株式会社KADOKAWA 取締役 代表執行役社長CEO、株式会社ドワンゴ 代表取締役社長CEO)

院内集会で話す夏野さん

 国の規制改革推進会議の議長をやらせていただいた夏野でございます。実は、規制改革推進会議でも選択的夫婦別姓の問題を取り上げようと何度かしておりました。そのたびにいろんな議論をしてました。私のときは女性の委員が半分で、ほとんどの方がやっぱり事実婚や、旧姓使用で苦労している方でしたので、委員はぜひ取り上げたいということでした。規制改革推進会議で取り上げるなら、当然政務や官僚と相談します。自民党議員ともたくさんコミュニケーションします。野党の方みんな賛成で全然問題なく、経済界も賛成です。まだ誰が反対してるのかという井上さんのお話でいうと、本当に自民党の議員の中もほとんどの方が、選択的なんだからいいのではないかと言う。しかし一部の非常に偏った思い込みを持ってらっしゃる議員の方が非常に声が大きくて、その方々にいろいろ噛みつかれるのが嫌だから、賛成議員の方はあんまり意見を言わないみたいな状況になっております。

 国会議員の方は選挙で選ばれるわけですから、誰が反対しているのか、その所属議員団体などを含めてチェックして、次の投票のときには、反対している人には票を入れないという行動を皆でやらないと、議論にならないんです。(反対派議員の)言ってることがよくわからない、全然議論にならないということを、規制改革推進会議でもさんざん経験しました。これはもう放って置くべき問題ではないという強い思いでおります。皆さん、また議員の皆さんもぜひ応援よろしくお願いいたします。


あと何十年、言い続ければ変わるのか。

建設的に議論し、前に進むことが大切

井上高志さん 新経済連盟 理事(株式会社LIFULL 代表取締役会長)

院内集会で話す井上さん(中央)

 実際に経済の現場では不都合がたくさん出てきておりますので、もう早くルールを変えましょう。早く選択的夫婦別姓の法制化を進めていただきたい。

 先ほど議員の方からもお話がありましたけれども、50年近くもずっと変えてくれと国民が言っているにもかかわらず、なぜ駄目なのか、誰が言っているのか、よくわからず、その説明責任ないのかというのを、ぜひ問いたい。あと何十年、言い続ければ変わるんでしょうか。そういうことはもうやめましょう。もうこの時点で、何が問題で、だったらそれはどうクリアできるのかというのを建設的に議論し、前に進むということが大切です。産業界では、毎日当たり前のようにこういう議論をやっておりますので、ぜひそんなふうに進めていければと思っております。

 日本の経済界も、女性も含めて推進派が多く、あと誰が反対してるのか本当に不思議でなりません。なぜ変わらないのか。また代表理事の三木谷は、先ほどの署名の中でももちろん賛成しておりますが、これは基本的人権だというふうにコメントしております。私もそう思います。当然だと思います。別姓を選択できるという選択の自由があるということも基本的人権であり、また男女が平等であるということも当然の基本的人権であり、そこから広げていくと日本という国が、様々なジェンダーギャップおよびダイバーシティの点においては、まだストレスが溜まったり弊害が発生するようなルールがたくさんありますの。ゆくゆくはそういった基本的人権を保護するための基本法を作り、様々なルールがおかしいというところは次々に改正をしていく、こんな動きに広がっていくと良い国になっていくのではないかと信じて、産業界としても応援したいと思っております。


人生かけて築いたブランド名の変更は、経営者にとって死活問題

鈴木世津さん 選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会 呼びかけ人

(一般社団法人SD&I研究所 共同創設者 兼代表理事、femUniti株式会社 共同創業者 兼 CEO)

院内集会で話す鈴木さん

 今日、私は名古屋から参りました。皆さん日々いろんな選択をしていると思います。今日、朝食に何を食べるとか、今日何を着ようか、そして自分の人生のパートナーとして誰を選ぶか、これ全部自由に選べるはずです。でも、唯一日本で自由に選べないものがあるんです。それは結婚したときに自分が選びたい名前ですね。

 私は鈴木世津と申しまして、(所属は)サプライヤーダイバーシティと言います。サプライチェーンの中のダイバーシティを推進しており、日本全国の女性起業家の方、女性スタートアップの方、事業承継の方などいろんな方々と協働します。その方々が、結婚や離婚というタイミングを迎えた時、名前を変えなくてはいけない。ビジネスにおいてこれは「あなたのブランド名を変えろ」という意味なんです。そのブランド名はどうやって培われてきたと思いますか。人生をかけて信頼を作り、関係を作ってきた証です。非常に重要なそのブランド名を一夜にして変えろと言われるのは、経営者にとって死活問題なのです。これまでの歴史、どうなりますか。経営者の中には女性起業家も、 LGBTQ 事業当事者も、ディサビリティ当事者の方もいます。あるいは外国籍の方で日本の中でしっかり納税しながら経営をしている起業家の方々もいます。そういう方々も全て存在が認められ、社会の中で自分の信念や姿勢を変えることなくやっていけるようにするために必要なのは、名前を変えさせることではなく、今の法制度を変えることだと思います。ぜひ、2024年選択的夫婦別姓を一緒に達成しましょう。


創業者の一人娘を改姓させてしまった経験。

望まない改姓を娘2人に引き継がないために

山田岳人さん 選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会 呼びかけ人(株式会社大都 代表取締役)

院内集会で話す山田さん

 私は大阪から参りました、大阪の工具商の3代目です。先代は私の奥さんのお父さんなんです。結婚申し込みに行った時に「娘やるから会社継げ」と言われたんですね。それで継いだわけですが、妻は一人娘だったんですよ。先代が「会社を継いでもらうから名字を諦めるわ」と言ったことを覚えています。僕は山田という名前ですが、創業者の一人娘である奥さんは名字には今でも思い入れがあり、旧姓使用。山田なんてどこにでもある名前になりたくなかったのかもしれない。でも今は、変えたくないケースでも結婚したい2人が「名字どっちにすんのや」という、要は余計なことを話し合わなきゃいけません。これをなくしたいなと思っています。うちは娘2人、娘が結婚するときには選べるようにしたい。「選択的」の反対は「強制的」であって、強制的に名字が決まるみたいな制度はおかしいと思います。名字を変えるのが女性というケースが95%なので、これを女性の問題と捉えがちですが、実は男性こそ、男性議員の間でこそ話すべき重要な問題です。さきほど夏野さんもおっしゃったように反対してる議員がいらっしゃるなら、今めちゃくちゃ美味しいタイミングだと伝えたいですよね。これを法改正したら、政治家の皆さん歴史に名前を残せますよ。だから本当に実現してほしい。

 今日、1046名の方が実名を出して1人ずつ署名し、コメントも集まりました。これだけ多くの署名を集めさせていただいたのは本当にありがたいと思っています。全員、経営層です。もう本当に名だたる経営者の方が署名をしたリストを議員の方にお渡ししました。これを実現しないと、民間企業を経営してたら、会議で「いつまでやんの」と絶対怒られるやつです。実現しましょう。


少子高齢化、女性の活躍促進待ったなし。経済合理性を考えた政策を

今中明子さん 全国女性税理士連盟 制度部長(税理士)

院内集会で話す今中さん

 税理士会でも2003年から旧姓使用が認められております。婚姻に伴って氏を変更した会員の多くが旧姓で税理士登録をしております。しかし税法では、納税者氏名は戸籍名となるため、旧姓は屋号として扱われております。インボイス制度において、適格請求書番号の発行者事業者サイトというところに、税理士登録名で公表しようとすると、納税者氏名を屋号に一旦変更するという手続きが必要になって、役所で住民票に旧姓併記の手続きを先に行う必要があります。それから成年後見制度においても、登記事項証明書では戸籍名が求められますので、旧姓の税理士名で成年後見活動はできないというように2つの姓を持つ煩雑さが残っております。

 私ども税理士は中小企業の経営を支える立場でもあるのですが、今、非常に問題になっているのは社会保険料の負担の大きさと人手不足。例えば中小企業の会社とその従業員で、給与の額面額の3割近くの社会保険料を負担しなければならず、負担も既に限界に達しています。そのくらい厳しいこの国で、少子高齢化対策も女性の活躍推進も待ったなしです。国にはやれる改善策は全てやっていただかなければならない時期にきているはずです。特定の思想ではなく、社会経済の発展というところに軸をおいて、「与党内の多数派が社会の多数派ではない」と言われるような政策ではなく、本当に経済合理性を考えて、社会の発展に寄与するような、政策を出していただきたい。中小企業を支える1人の税理士としてもそのように思っております。どうぞよろしくお願いいたします。


なぜ改姓した側だけがプライバシーをさらけ出さないと経営できないのか

清水直子さん 一般社団法人日本跡取り娘共育協会 理事(ファイン株式会社 代表取締役社長)

院内集会で話す清水さん

 私が8年ほど前に結婚した当時、まだ跡取り娘協会がなかったので、周りに結婚して名前が変わった経営者の先輩がいませんでした。「私、結婚するんですけど手続きはどうしたらいいですか」と各銀行や税理士の方にもいろいろ相談しましたが、なかなか正確な情報が手に入らない。経営者の改姓事例がすごく少なくて困っていたところ、信用保証協会の方に、「戸籍の名前を書いてくれないと困ります」と言われ、金融機関との取引、融資における改姓のデメリットが実感できました。

 地方の経営者ですと、そもそも周知された旧姓でないと地元で商売ができないと聞きました。跡取り娘協会のメンバーでもやっぱり創業者の名前がとても大事。「私は創業者の名前を名乗りたい」との声が多い反面、事業を継いだ娘が改姓すると、父親や祖父の代から継いだ事業や土地を、いわゆる「嫁ぎ先」である夫の側に全部取られるのではないか、という親族の不安にさらされるとの声も寄せられます。結婚に伴って親族間で不信感が生まれるなんて、本来は避けたいことです。また離婚にしろ結婚にしろ、登記など名前が変わるたびに各所にプライバシーをさらけ出さないといけません。代表は住所までさらして仕事をしています。そのために銀行から「今回は(結婚、離婚)どっちですか」と言われ、不快感を持つこともあります。

 なぜ女性経営者は住所だけでなく婚姻歴というプライベートまで晒さないといけないのでしょう。私も実際、ストーカー行為の標的にされたこともあります。女性経営者は危険と隣り合わせなので、せめて旧姓を維持する権利は欲しいです。


法人登記にハンコ。一度改姓すれば離婚後の復氏も再婚も困難

富久田三千代さん 理事(有限会社とちぎ園芸 代表取締役)

院内集会で話す富久田さん

 私も結婚を機に名前が変わりまして、父と姓が違いますので、「あなた誰」という状態から会社に入りました。その後離婚した際には、旧姓に戻るか、結婚時の姓を使い続けるか選べるんですよね。不思議なことに。だったら結婚のときに選んでもいいはずです。やはり代表をしておりますと、氏が変わるのはなかなか煩雑です。会社の登記も、ハンコも変えなければなりません。なので私は不本意ながら前の夫の名前をそのまま名乗っている状態です。もし今後、結婚することになった場合、どうなるのでしょう。多くの経営者はそういった場合、再度の改姓を避けるために婚姻届を出さない方も多いです。こういった事実を皆さん知っていただいて、本当に小さな前進かもしれないですけども選べることが幸せに繋がると思っておりますので、ぜひ皆さん、力を合わせて頑張っていきましょう。


市民の声が経済界まで動かした。失われた30年を取り戻す大きな一歩に

青野慶久さん 選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会 共同代表(サイボウズ株式会社 代表取締役社長)

院内集会で話す青野さん

 (首相補佐官、内閣府政務官に対し)私たちは、選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダーの会として、まさに経営者の立場として、早く法改正を実現してくださいとお願いしております。今まではこういう経営者の声はなかなか届かなかったかもしれません。しかし署名活動をしたところ、1000人以上の経営層の方々が署名をしてくださいました。こにずっしりとありますのは、皆さんの思いを込めたコメントです。びっくりするぐらい、皆様が法改正を求めておられます。結構辛辣なコメントもありますけれどもぜひこれを受け取って読んでいただき、早期実現をお願いしたいと思います。

 (閉会の挨拶)今日は歴史に残る素晴らしい、そして国際女性デーの名にふさわしい会になったと思います。この問題はとてもシンプルです。「名前を変えるのが大変な人は変えずに結婚できるようにしてくれませんかね」というだけのこと。これだけ時間がかかってるというのも謎の問題です。しかし僕みたいな男はなかなかやはり問題に気づけず、もう何十年も前から勇気ある女性の方々が戦って、裁判も起こしてくださっていました。それに心動かされた私までも裁判を起こしてみたりして、そして私が声をかけましたら、こうやって経営者の皆様が実名でお名前を出して賛同してくださって、もう詰将棋でいくとあと何手かで詰むのではないかというところまで来ているのではないかと思います。これでもし動かないようでしたら、夏野さんがおっしゃってましたけど、未だに賛成しない議員の名前リストアップしてですね、徹底的に落としていくというところです。そこまでやらせないでくれと思いますが、それぐらい、執念を持って取り組んでいければと思います。あと一息、頑張って実現して、この活動はおそらく日本を大きく変革するような流れになるんじゃないかと思います。ただ名前の問題なのかもしれません。しかしこの当たり前のことが、この市民の声をもって経済界まで巻き込んで動かしたということが、これから失われた30年を取り戻す日本にとって大きな一歩になると思います。最後まで諦めずに頑張っていきましょう。


経団連の資料も、ご許可を経て、代理であすにはから手交させていただきました。

院内集会の様子は多くのメディアでも取り上げられました。

https://s-newscommons.com/article/1165(生活ニュースコモンズ)

https://mainichi.jp/articles/20240319/dde/012/070/004000c(毎日新聞)


出席された政府・議員の皆様から

手交を受けた矢田首相補佐官、古賀政務官からは以下のようなご発言をいただきました。

答申から28年、何でできないのか。

ビジネス界でこれだけの声が上がったのは画期的

矢田わか子首相補佐官(岸田首相名代)

要望を受けて応える矢田稚子首相補佐官

 今日この会場にいらっしゃる方々は、選択的夫婦別姓の必要性をわかっている方ばかりだと思います。私も野党議員時代、なぜできないんやということで、本当に何度も何度も国会の中でも質疑をさせていただきました。

 今は、立場が変わって、首相補佐官なんですよ。だから本当は、今日はこの場では総理補佐官としてのお話をしなくちゃいけないのかもしれません。

 ただ個人の思いを先に述べさせていただくと、私は当事者でもあり、法制審の答申から28年も経って、何でできないんやろうかという思いしかありません。

今年は、女性差別撤廃条約に関し、10月にはなぜ民法改正ができないのかということも含めて国連に報告書を出さなくちゃいけない、その期日も迫っています。そして何よりも、各団体から、ビジネス界でこれだけの声が上がったということは、画期的なことだと思います。

いただいた分厚い署名、まだ半分しか読めていませんけれども、全部目を通したいと思います。

 このうねりを、総理自身にも受け止めていただきたいなと思いますし、補佐官の立場として今日は公式に行きますよということで了解得てこの場に来ましたので、ぜひこれを持ち帰って、私の想いもそこに載せながら、しっかりとお伝えをしていきたいなと思っています。

何とかね、今年皆さんと一緒に大きな変革点を迎えられないかと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。


矢田補佐官のこの言葉はTBSで大きく報じられました。

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1044373(TBS)


家族制度に関する問題。国民的議論、国会での議論を注視

古賀友一郎政務官(内閣府大臣名代)

要望を受けて応える古賀内閣府政務官

 皆さんこんにちは。ご紹介いただきました、男女共同参画担当の内閣府大臣政務官を拝命しております参議院の古賀友一郎と申します。今日は、大変皆様方の熱気あふれるこの会合にお招きをいただきまして、皆様方の日頃からの、選択的夫婦別姓制度の導入に対する思いというもの、活動に対して敬意を表したいと思います。政府においても、この問題、しっかり認識をしているつもりでありますけれども、今国民的な色々な議論がなされているということで、様々なご意見があるということも、私ども承知しております。家族制度に関する問題でございますので、やはり国民的議論、それから、その国民の代表であるこの国会での議論、こういう部分を、私どもを注視しているところでございまして、政府としてもそういった議論に資することができるように、色々な情報提供等々、進めてまいりたいと考えております。今日は本当にお疲れ様でございました。しっかり頂戴いたしました。

 院内集会には、多くの国会議員と秘書の皆様からご参加をいただきました。選択的夫婦別姓の早期実現を求める声が経済界からも強まっていることを可視化することができました。この動きが速やかな法改正へとつながるよう、働きかけを続けてまいります。それぞれの議員の皆様のご発言は、院内集会の動画アーカイブでご覧いただけます。

法改正への思いを語る参加議員(一部の方のお写真しか撮影できておらず申し訳ありません)

参加議員一覧

三宅伸吾 参議院議員 (自民党)

井出庸生  衆議院議員  (自民党)

竹谷とし子  参議院議員  (公明党)

古屋範子  衆議院議員 (公明党)

杉尾秀哉  参議院議員  (立憲民主党)

西村智奈美  衆議院議員  (立憲民主党)

水野もと子  参議院議員  (立憲民主党)

打越さく良  参議院議員  (立憲民主党)

吉田はるみ  衆議院議員  (立憲民主党)

森山浩行  衆議院議員  (立憲民主党)

枝野幸男  衆議院議員  (立憲民主党)

高木まり  参議院議員  (立憲民主党)

古賀千景  参議院議員  (立憲民主党)

杉尾秀哉  参議院議員  (立憲民主党)

宮口治子  参議院議員 (立憲民主党)

田島まいこ  参議院議員  (立憲民主党)

田村智子  参議院議員  (日本共産党)

小池晃  参議院議員  (日本共産党)

吉良よし子  参議院議員  (日本共産党)

福島みずほ  参議院議員  (社民党党首)

櫛渕万里  衆議院議員  (れいわ新選組)


秘書による代理

河野太郎 衆議院議員 (自民党)

安江伸夫  参議院議員  (公明党)

辻元清美  参議院議員  (立憲民主党)

伊藤しゅんすけ  衆議院議員  (立憲民主党)

高木かおり  参議院議員  (日本維新の会)

紙智子  参議院議員  (日本共産党)

法改正に唯一、党として反対しているのは自民党です。しかし自民党の中からも法改正を推進しようと努力してくださっている「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」があります。今回、事務局のお2人が駆けつけ、法改正への思いを語ってくださいました。

困っている方を救うのが政治の一番大事な役割

三宅伸吾 参議院議員 (自民党)

法改正への思いを語る三宅伸吾議員

 先ほど、名前を変えるのはブランドを変えるようなものだという発言がありました。有名企業がブランドを変えたら、モノが売れなくなるんじゃないかと思ったりした次第です。今日、多くの方のお話を伺いました。自分らしく生きるというのが一番大事なポイント。今、そうできない制度になっていて、困っている方がいらっしゃる。困っている方を救うのが政治の一番大事な役割であり、救えないのでは駄目です。

 自民党に所属しておりますけれども、後からお話になる井出先生と一緒に、3年ほど前に党内に選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟を立ち上げ、今、共同の事務局長をしています。

 今日、この素晴らしい会を企画していただいた、「あすには」の井田さんには本当に心より敬意を表し、お集まりの皆さん方より、自民党、しっかりせいと、強い叱咤激励をいただいたんだと思います。

 我が国は明治31年から(夫婦は同じ氏とする制度が)変わっていないわけです。今日は皆さまのお話に心より感銘を受けましたので、火の玉になって、(法改正に向け)頑張ります。


執念をもって法改正を実現する

井出庸生 衆議院議員 (自民党)

法改正への思いを語る井出庸生議員

 参議院議員の三宅さんと、自民党の中で、夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟の事務局長を2人でやっております。途中から来て、ずっとお話を伺っておりましたが、一番はやはり今日集まりの皆さんの熱意、本当にそういうお気持ちを一番いただけたなと思います。ご紹介いただいた井田さんとは、かれこれ連携して長いんですが、おそらくここにいる全ての人が、この人の熱意はすごいなと思ってるんじゃないかと。私もその1人です。自民党の中で議連を作っていろいろ活動しており、3年ぐらいが経ってしまいました。よく政治家は「ぶれない」とか「志が」と言いますが、私はこの件ともう一つ二つぐらいこだわり持ってやってるものがありまして、もうもはやそれは「ぶれない」とか「志」じゃなくてですね、「執念」なんだと。そう周囲に表明をしておりますので、皆さんのように元気よく、盛り上げていっていただいて、私のように執念を持って、取り組むと、そういうところで連携してですね、早くこの実現を進めていきたいと、そのための大きな力を今日はいただきましたので、またこれからもよろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。

平等な結婚、平等なキャリアを目指す企業合同アクション

「Think Name Project」始動

 経済界が一斉に声を上げ始めたこの波を止めることなく、法改正につなげたい。望まない改姓や旧姓使用の 不利益に悩むことなく、誰もが働きやすい社会を作りたい。制度変革のスピードを上げるためには、企業の皆様 一社一社の後押しが必要です。 そこで私たちはこの日、ビジネスリーダーによる個人署名の次のアクションとして、企業・団体の皆様の賛同の輪を可視化するプラットフォームとして「Think Name Project」をスタートしました。


 今後は賛同いただいた企業、著名人など、さまざまなステークホルダーとともに、夫婦同姓を強制している現行法について考える啓発アクションを展開し、ひとりひとりの選択肢と可能性を拡げるムーブメン トを起こしていきます。4月1日には、東北大学・吉田浩教授の未来予測をもとに「2531年佐藤 さん問題」と銘打った第1弾啓発アクションを予定しています。

番外編

SNSでの反響

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backhand index pointing right
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3月8日の日付が変わる頃、X(Twitter)のトレンドに「夫婦別姓」と並んで「大和証券」「三井住友」など、今回ご協力くださったビジネスリーダーの社名が並びました(図左)。


さらに翌日9日、経団連から取材を受けていただいた三井住友海上火災保険の本島なおみ常務、経済同友会から取材を受けていただいたアイダ設計の阿部真寿美専務の旧姓の困りごとに関する記事が、ビジネスニュースでも1位になりました(図右)。


「パスポートの姓と違う」とトラブルに 経済界も夫婦別姓導入を要望(朝日新聞)


もちろん、他のニュースの影響もあったとは思いますが、今回名だたる企業のビジネスリーダーがご一緒に動いてくださったことも、大きな衝撃だったのではないかと思います。3月8日の政府への要望を実現させて下さったすべての皆様のご協力に、心から感謝申し上げます。


院内集会最後に撮影した集合写真

有志による別姓訴訟団の応援

 3月8日国際女性デーは、第三次別姓訴訟提訴の日でもありました。この日、札幌と東京の2つの地方裁判所で、「夫婦別姓を認めない民法の規定は違憲」として12名の原告が国を相手に提訴しました。原告のほとんどが「あすには」のメンバーです。私たちもこの訴訟を応援したく、メンバーの有志が原告の皆さんとともに札幌地裁、東京地裁へと向かう入廷行動に参加しました。

 原告、弁護士、「別姓訴訟を支える会」の方々からは、必ず勝訴をという決意をお聞きするとともに、「一番の希望は最高裁の違憲判決よりも先に法改正が叶うこと」という言葉もありました。別姓訴訟団に連帯しながら、「あすには」も一刻も早い法改正に向けて前進していきたいと思います。


結婚と離婚を5回繰り返す人も 夫婦別姓求め12人が国を提訴(NHK News WEB)

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